2023年3月20日 東日本地区料理講習会 開催報告
2023.3.20
3月20日に東京調理製菓専門学校にて松本浩之シェフ(トック・ブランシュ国際倶楽部会員/東京會舘 レストラン「プルニエ」調理長)を講師に迎え東日本地区の料理講習会が開催されました。
講習会では旬の食材を使ったメニュー3品を披露していただきました。
1品目は、春の風物詩として愛されているホワイトアスパラガスを、昔からのシンプルなオランデーズソースをかけた定番の一皿と、今回、松本シェフが考案したアスパラガスをポシェした一皿を実演してくださいました。レストランの「プルニエ」という名前は魚介料理店という意味があるので、アスパラガスと同じ食感の小柱との組み合わせにムースをかけたもので、「毎年ホワイトアスパガラスを召し上がっていただくお客様に少し違った角度のメニューを楽しんでいただきたい」という思いで作ったとのこと。
2品目はトマトの酸味と甘味、そしてオマール海老の旨みをたっぷり感じることのできるお料理。フルーツトマトをくり抜き、そこに生姜、丁字、レーズン、オレンジやレモンのゼスト、ミント、胡桃などのファルスを詰めて、85℃のスチームコンベンションで2時間半かけてゆっくりコンフィにしたものは、宴会や婚礼などにも便利で、魚やお肉料理にもう一品添えても良いので覚えておくとよいとのこと。オマール海老のソースは時代に合わせて軽さを象徴するためにマーブル状に仕上げました。
3品目のしじみには白ワインの代わりに日本酒を使ったキュイソンを。鴨はそのままでもシンプルで美味しいですが、シジミのコハク酸を組み合わせるともっと美味しさが増していくと説明いただきました。この講習メニューを選んだ理由として、料理長になられてから24年間、松本シェフとしてのオリジナリティを探し続けてこられたそう。「美味しい料理は当たり前。自分にしかないスペシャリテというものは何か、なかなか答えが見つからなかったけれど、試行錯誤するうちに、山の幸と海の幸の持つ“旨みの相乗効果”に気がついた」とのこと。「この後、何年かかるか分からないけれども、自分の納得のいくものが少しづつわかってきたので集大成の還暦プロジェクトとして続けていきたい」と語る前向きな姿が印象的でした。
長年、街のレストランで料理長をされてきた松本シェフが、伝統と歴史の東京會舘という大組織に移り、両方の職場を経験したからこその働き方、料理への向かい方、食材を工夫するコツなどもお話ししてくださいました。「大きなところだと提供する料理の温度を諦めてしまっていることもあるけれども、熱い料理ための一手間だけはどうしても諦めたくなかったので、プルニエに入って3年、そのことを心掛けてやってきた。出来立ての肉やソースの蒸気が鼻腔に入ると香りがわかるし、冷めてしまうと伝わってこないので、お客様からの『香りがいいよね』というのは最高の褒め言葉だと思う」
去年秋、念願のミシュランの星を獲得され、その実力が改めて評価されましたが、辿り着くまでのご苦労も語ってくださいました。若いスタッフを大切に育てる優しいお人柄も伝わり、参加者60名はたいへん有意義な講習会となりました。ありがとうございました。
当日の施設を提供いただきました東京調理製菓専門学校様には大変お世話になり、心より感謝申し上げます。松本シェフ、サポートいただいた役員、委員の皆様、お疲れ様でした!
ホワイトアスパラガスのポシェ マンダリン香るマルテーズソース
カナダ産オマール海老 軽くバターソテー ジュ ド ラ プレス
シャラン鴨胸肉のロースト 青森県産大しじみとセリソース