東日本 / 西日本地区 料理講習会 開催報告

2024.4.20

2024年3月12日 西日本地区料理講習会 開催報告

寒さも和らいだ3月12日、京都【真白 ましろ】の小霜浩之氏を迎えて大阪あべの辻調理師専門学校でトックブランシュ国際俱楽部特別料理講習会が行われました。

桜の葉の香りを忍ばせた赤蕪と蛤、帆立貝を使った春らしい前菜で始まり、鰆に柑橘類の甘みと酸味、蕗の薹の苦みを添えて最適な加熱を施し、鳩のロティは、腿肉と内臓を使ったパテ、血を活かしたブーダンを添えて伝統を踏まえたフランス料理らしい一品に仕上げました。

講習を拝見しながら気づいたのはシェフの素材探求への並々ならぬ情熱、素材を生かす調理法、ストレスを与えない加熱法の研究。一品一品の緻密に計算された味、香り、食感、テクスチャー、色彩の組み合わせの見事さ。3品ともそれぞれに合った調味料を使い、酸味のいかし方で完成度を数段あげていました。

一品目の赤蕪のピューレは最後に加えたカラマンシーヴィネガーの酸味で色が鮮やかになり、味に立体感が出て蛤の旨味をうまく引き立てていました。また、海のエッセンスジュレは海水を思わせる塩味の強さを昆布、海藻、かつお節の旨味が相乗効果を発揮して貝、赤蕪と見事に調和させていました。

二品目の鰆は小霜シェフの大好きな素材の一つ。その肝は身をパサつかせない火通しの的確さです。ソースと付け合わせの持つ甘み、酸味、苦みとのコンビネーションで味を立体的に組み立てていきます。ソースの酸味はオレンジ、グレープフルーツをベースにバルサミコ酢ロゼでまろやかさを出し、グレープフルーツで苦みのアクセントをつけていました。春を感じさせる蕗の薹のピューレのほのかな苦みと程よい甘みが秀逸。金柑の甘み、酸味、苦みに蜂蜜の甘みが加わり、苦みトーンを上げずに蕗の薹を引き立てていて、これこそ春の味覚を伝える絶妙さでした。

三品目は素材を味わい尽くす料理。腿肉も内臓も血もすべて使切る。胸肉はストレスを与えずにセジールし30分かけて65℃前後の低温のオーブンでゆっくりと火を入れます。血を使ったブーダンは内臓が嫌いな方でも難なく食べられるまろやかさと滑らかさでファルスに加えたリンゴがいい働きをしていました。ソースは王道の赤ワイン風味、その煮詰め方にシェフの思いが表れていました。とことん煮詰めて酸味を飛ばして炒めたガラ、香味野菜、鳩のフォンと合わせて煮出す。幾分輪郭のぼやけた色味、味の修正を取り分けた赤ワインを煮詰めて最後に加えて自分が思い描いた通りのソースに仕上げていました。 (テキスト:西日本地区 特別料理講習会 実行委員 Y.K)

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Purée de navet au parfum de fleur de cerisier et coquillage
桜かほる 蕪と貝 海のエッセンス
Poêlé de SAWARA et tige de petasite sauce jambon rôti et agrumes
鰆のポワレ 蕗の薹の苦味 ロースハムと柑橘ソース
Pigeon rôti et son boudin noire
ピジョンロティとそのブーダンノワール

2024年3月18日 東日本地区料理講習会 開催報告

3月18日に東京調理製菓専門学校にて齋藤 裕之シェフ(トック・ブランシュ国際倶楽部会長/ヒルトン成田 総料理長)を講師に迎え東日本地区の料理講習会が開催されました。
当日は齋藤裕之シェフの会長就任記念の講習会ということで、たくさんの方にご参加いただきました。

講習会では伝説のレストラン「マキシム・ド・パリ」の40年位前のメニューから王道の料理3品を披露していただきました。「舌平目のブレゼ アルベール風」は言わずと知れた同店のスペシャリテメニューですが、1930年代から30年以上に渡りメートル・ドテルを務めたアルベール氏にちなんで名付けられたとのことで、調理師専門学校の教科書にも載るほどクラシカルで代表的な料理です。

実際に「マキシム・ド・パリ」で作ってきた分量や作り方を当時のエピソードなども交えながら、一つ一つの工程を丁寧に説明する齋藤会長。寡黙に作り上げていくお姿は職人そのものでした。また、小山理事の進行で、途中に質疑応答なども交え、基本的な下ごしらえのやり方はそれぞれの名門ホテルやレストランで異なるものもあり、たいへん勉強になりました。

試食で実際に出来上がったソースを食すと、しっかりとした味わいで、フランス料理の奥深さに感動が込み上げてきました。いま流行りの「SNS映え」する盛り付けではありませんが、まさにフランス料理の原点ともいえるこれらの料理を齋藤会長自ら披露していただき、その技術と伝統の味を体験することができました。トック・ブランシュ国際倶楽部の料理講習会の根本にある「正統派のフランス料理をいかに後世に伝えていくか」という大切な使命を齋藤会長にリードしていただき、これからも活動を続けてほしいと思いました。

当日は齋藤会長の隣で、柘植副会長、市川副会長がメインでサポートをし、なんとも贅沢。参加者70名はたいへん有意義な講習会となりました。ありがとうございました。
また、施設を提供いただきました東京調理製菓専門学校様には毎回たいへんお世話になり、心より感謝申し上げます。齋藤会長、サポートいただいた役員、委員の皆様、お疲れ様でした!

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Terrine homard et Saint-Jacques au safran sauce cresson
オマール海老と帆立貝のテリーヌ サフラン風味 クレソンソース
Sole braisée Albert
舌平目のブレゼ アルベール風
Noisettes de chevreuil sauce grand-veneur
丹波産鹿肉ロースポワレ ソース・グラン・ヴヌール