2025年3月17日 東日本地区料理講習会 開催報告

2025.3.17

3月17日に東京調理製菓専門学校にて十時 亨シェフ(GINZA TOTOKI オーナーシェフ)を講師に迎え東日本地区の料理講習会が開催され、講習会では旬の春食材をふんだんに使った料理3品を披露していただきました。
東日本地区委員の吉本憲司さん(グランドプリンスホテル高輪 ル・トリアノン料理長)に当日のレポートをいただきました。


【はじめに】
銀座レカンの3代目シェフを務められ、季節感、テロワール、またフランス料理の技法を大事にされている十時シェフによる講習会。冒頭に齊藤会長から「十時シェフの料理に対する姿勢や考え方を学んでほしい」とご紹介がありました。

【Assortiment d’asperges blanches】
ホワイトアスパラガスの取り合わせ

ロワール産白アスパラガスを6種類の調理法を一皿に。
フリット(穂先)、サラダ(2番目)、グリエ(3番目)、ロティ(4番目)、ポッシェ(1本丸ごと)、ムース(1本丸ごと)
部位によって調理法が変わり、一皿になり、食べると、白アスパラガスの各々の表情があり、多様なアスパラガスがグラン・レゼルバの生ハムとの相性が本当に美味であった。素材を生かした完成された一皿。

【Foie gras poêlé et radis Miracle Farmed au goût de truffe】
フォワグラソテーとミラクル農法大根 トリフ風味

特別に仕入れたフランス産のフォワグラは、脂が出にくく、白レバーの様な繊細なもの。このフォワグラにミラクル農法大根(とうもろこしの芯を炭を畑にまき、良性バクテリアを用いて大根の繊維が細かく筋がなくなる。煮込んでも崩れない繊維が細かい大根。生で食べると梨の様な、みずみずしさと甘さに大根の苦味が後から優しく感じられる)を組み合わせた料理。

2時間程茹でた後、昆布出汁、コンソメ、鶏の脂、フォワグラの脂で味を整えたキュイソンで火を入れ、そして余熱を使い、冷ましながら味を染み込ませる調理法を伝授頂きました。
丁寧なフォワグラのソテーの技法、昆布出汁の引き方、なぜ昆布がフランス料理に合うのか等、シンプルな素材の組み合わせの中に十時シェフの想いの詰まった料理であった。

【Cuisse de sanglier grillée et pousses de bambou Parfum de poivre sanshou】
イノシシもも肉のグリエとタケノコ 山椒の香り

佐賀の伊万里産の猪の股肉。
猪という素晴らしい食材である事、猪の部位の構造、なぜ薄切りにしてグリエにされたのか。猪と筍のどうして付け合わせ合わせたか。姫皮、山椒、白味噌の組み合わせ。
季節感、テロワールを大事にされた、十時シェフのメゾットが感じられた料理でした。

【最後に】
機材を選ぶ事。調理に用いるオイルについて、アセゾネのタイミングなど、丁寧に説明くださいました。また、銀座レカンのシェフになられたエピソードもお話しいただきました。
日本の素晴らしい食材との出会いや、その食材から挑戦され、今の十時シェフの料理が完成されている事など、本当に貴重なお話を聞く事が出来ました。

シンプルな料理に見えると思いますが、一つ一つが考え抜かれて、想いのこもった料理で、その中に妥協のない素晴らしい仕事がされていて、素材を生かした自然派のフランス料理であり、本当に考え深い素晴らしい料理で、有意義な講習会でした。

レポート 東日本地区委員:吉本 憲司(グランドプリンスホテル高輪 レストラン「ル・トリアノン」 料理長)


今回も施設を提供いただきました東京調理製菓専門学校様には毎回たいへんお世話になり、心より感謝申し上げます。十時シェフ、お忙しい中を講習いただきありがとうございました。朝早くからサポートいただいた役員、委員の皆様、お疲れ様でした!