2025年8月25日 東日本地区料理講習会 開催報告
2025.9.1
8月25日に東京調理製菓専門学校にて杉本 雄シェフ(帝国ホテル 常務執行役員 総料理長)を講師に迎えて、東日本地区の料理講習会が開催され、「愛媛県産真鯛のポシェ」、「日本鹿肉のロースト」の2品を披露していただきました。
東日本地区委員の戸澤昌之さん(京王プラザホテル 調理部副部長 兼 洋食調理長)に当日のレポートをいただきました。
【講習会 冒頭】
杉本シェフから、まず「メニュー名」へのこだわりについてお話がありました。料理名はただのタイトルではなく、そこから料理が自然に連想でき、頭の中に絵が浮かぶようでなければならない──そのようにメニュー名をとても重要視しているとのことでした。
続いて、ご自身の「料理感」について触れられ、今回の講習会で実演する料理はその考え方が伝わるようなものを選んだと説明がありました。

【1品目:真鯛】
Dorade
Doucement cuite au fumet vivacité aux agrumes, sauce beurre blanc modernisée
真鯛
愛媛県産真鯛のポシェ ブールブランソース
ルセットを拝見して驚いたのは、『ブールブランソースをミキサーにかける』という記述でした。私自身その経験がなく、どんなソースになるのかとても興味がありました。
杉本シェフによれば、フランスでの修行を経て帰国後に試行錯誤を重ね、このレシピにたどり着いたとのこと。ポイントは「仕上げのソースは短時間で仕上げる!」
今回のブールブランソースでは、白ワイン、ヴィネガーを一度に入れて煮詰めるのではなく、何回かに分けて加えることで時間を短縮し、香り・味わいを残しつつ深味が出るようにされていました。また、ミキサーを使う意味やソース分量まで緻密に計算されているのを強く感じました。
真鯛は、メニュー名にもある通り弱火でやさしく火入れされ、ふわふわとした食感に。さらに、キュイソンも無駄にせず、煮詰めて仕上げのソースに活用されていました。
ガルニチュールは旬の食材を取り入れ、季節感あふれる一品となっていました。

【2品目:日本鹿】
Chevreuil
Dos de chevreuil cuit au four, sauce poivrade et pommes rosaces
日本鹿
ロース肉のロースト ジュニパーベリーと黒こしょうを効かせたソースで
使用されたのは、京都産の日本鹿を10〜14日間エイジングしたもの。
この料理でもソースは基本をしっかり守りつつも短時間で仕上げる工夫がありました。
フォンブランや赤ワインは数回に分けて加えて煮詰め、途中で加えるバターも後にモンテ用として再利用するなど、素材を余すことなく生かす姿勢が印象的で、杉本シェフの「料理感」が伝わってきました。
鹿のローストは、まずお客様から見えない側面を焼き締め、その後表面を美しく焼き上げることで、きれいな断面のロゼに仕上げる技法を披露くださいました。
付け合わせは「ブーダンノワール オ ポム」。
タルト、ブーダンノワール、鹿のムース、リンゴ、ジャム、ジェニパーベリーパウダーというシンプルながらも計算された構成です。
ブーダンノワールと鹿のムースのコク、リンゴの酸味と甘味のバランスが絶妙で、最後に鼻に抜けるジェニパーベリーの香りが心地よく、華やかな一皿に仕上がっていました。
味わい・見た目ともに素晴らしく、まさに「さすが杉本シェフ」と感嘆せずにはいられませんでした。
【最後に】
今回の講習会を通じて、杉本シェフの料理感を余すところなく感じることができました。参加された皆さまも、その考え方やアプローチから多くの学びを得られたことと思います。
今回の講習会での学びが、皆さまの今後の料理に少しでも役立てば幸いです。
レポート 東日本地区委員:戸澤 昌之(京王プラザホテル 調理部副部長 兼 洋食調理長)
当日は約90名もの参加者にご来場いただき、会場は熱気に包まれました。質疑応答も活発に行われ、参加者それぞれが真剣に学びを深める姿が印象的でした。杉本シェフからは、普段なかなか聞くことのできない貴重なお話を数多く伺うことができ、大変有意義な講習会となりました。
今回も施設を提供いただきました東京調理製菓専門学校様には毎回たいへんお世話になり、心より感謝申し上げます。杉本シェフ、お忙しい中を講習いただきありがとうございました。サポートいただいた役員、委員の皆様、お疲れ様でした!
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