2026年3月9日 東日本地区料理講習会 開催報告

2026.3.9

3月9日に東京調理製菓専門学校にてルノー・オージエシェフ(トゥールダルジャン 東京 エグゼクティブシェフ)を講師に迎えて、東日本地区の料理講習会が開催され、3品を披露していただきました。

東日本地区委員の鎌田 英基さん(hotel shijima atami)に当日のレポートをいただきました。

【1品目】
OMBLE CHEVALIER
glacé à la Crécy parfumé de poivre de Tasmanie, navets à la maraîchère
オンブルシュヴァリエのパリジェンヌと旬菜のマレシェール


中心となる工程は、ガラから取ったフュメをベースに鱒をキュイし、そのキュイッソンにエピスでアクセントを付けたソースでラケするという基本の仕事。
シェフのスペシャリテとも思える料理の構成を、少し変化させた一皿でした。
ポイントとなる鱒の火入れは非常に繊細で、食材の質感をしっかりと生かす技法が披露されていました。

付け合わせの仕立て方や味付けのバランスなど、シェフらしい感性でバランスが丁寧に組み立てられており、クラシカルなベースを基に、食材の質に合わせた火入れや構成が考えられた一皿となっていました。また、付け合わせ野菜の食感や酸味のアクセントも非常に参考になりました。

【2品目】
MURÈNE
en viennoise, tranche de fenouil braisée au thym et sauce vin blanc aux épices
ウツボのヴィエノワーズ エピス香る白ワインソース


使用されたのは大分県産のウツボ。
シェフは引退後は漁師になりたいと語るほどの釣り好きで、そんなシェフらしく、この日のためにあえて普段とは異なる食材を選んでの取り組みでした。
歴史を紐解くと、古代ローマではウツボは高級食材として生け簀で飼われていたり、現在でも南仏マルセイユ周辺の岩礁地帯では、漁師や地元の人々がスープ・ド・ポワソンなどで食すという話も披露してくださいました。

私自身も初めて触れる食材であり、独特な骨格構造を持つため特殊な捌き方が必要であることなど、非常に貴重な学びの機会となりました。
調理法はcuire à l’anglaise。シンプルでありながら、ウツボの香りや身質をダイレクトに味わえる仕立てです。ソースは白ワインベースに南仏を思わせるエピスでアレンジ。
付け合わせにはパスティスの香るフヌイユを合わせ、まさに南仏の海の情景が広がるような一皿となっていました。特にパスティスやチポトレ、エピスマスタードなどの香りの重ね方は見事で、口中で生まれるハーモニーはまさにフランス料理の醍醐味と感じました。

【3品目】
CABRI
confite façon navarin puis masqué de farce, tranche de courgette garnie et jus de marjolaine
大分県産仔山羊のナヴァラン マジョラムの芳香


部位ごとの調理法の使い分けを、一皿の中で表現した構成。
モダンなデコレーションでありながら、古典技法をしっかりと踏襲した料理だと感じました。部位ごとにどのように美味しく召し上がっていただくかを、表現と技法のバランスを取りながら考えられた一皿。

腿肉はソース・スービーズを用い、ナヴァランの要素と組み合わせて表現。
背肉は優しくキュイし、仕上げに藁を用いた瞬間燻製。ガラから取ったジュの香りとコクも素晴らしく、皿の中にフランス料理の技法と丁寧な仕事がしっかりと表現されている、さすがと思わせる一皿でした。

【最後に】
ルノーシェフは、まさにフランス料理の伝道師。
その素晴らしさや楽しさを、さまざまな側面から伝える術と情熱を持った料理人だと感じました。胸に輝くM.O.F.のメダルの意味の一端を垣間見ることができた、貴重な一日となりました。

また今回はルノーシェフの真横で、東京會舘プルニエの松本シェフによるリアルタイムでの解説もあり、非常に楽しく興味深い会となりました。
今回の講習会での学びが、皆さまの今後の料理に少しでも役立てば幸いです。

レポート:東日本地区委員:鎌田 英基(hotel shijima atami)

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